こんにちは、億持ってない億男です。
「収入=税金がかかるもの」というのが常識です。そして、年金も収入なので税金がかかる・・・たしかに間違いではありません。公的年金や企業年金などは「所得」として課税対象になります。ですが、実はすべての年金に税金がかかるわけではありません。中には非課税扱いとなる年金が存在し、受け取っても所得税や住民税がかからないケースもあるのです。
この記事では、年金と税金の基本的な関係を整理したうえで、非課税の年金についてわかりやすく解説します。
原則として年金には所得税がかかる
まず大前提として、年金は「所得」とみなされます。そのため、一定額以上を受け取れば所得税や住民税が課税されます。
年金にかかる税金の仕組みを簡単に整理すると次のとおりです。
課税対象になる年金
老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金、確定拠出年金、小規模企業共済など、老後の生活費として受け取る年金は原則として課税の対象となります。
税金の計算方法についてですが、年金は「雑所得」として扱われる収入です。公的年金の場合は「公的年金等控除」が自動的に差し引かれるようになっています。そして、もちろん、控除枠があるため一定額までなら非課税になる仕組みがあります。
ただし、この「公的年金等控除によって結果的に非課税になる」というケースと、「最初から非課税の年金」というケースは区別して考える必要があります。
税金がかからない年金がある
年金にも税金がかかるわけですが、例外があります。実は、年金の中には、制度そのものが非課税と定められているものがあります。代表的なのは次の2つです。
障害年金
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事ができない人に対して支給される年金です。老齢年金のように高齢者を対象にしたものではなく、現役世代であっても条件を満たせば受け取ることができます。
障害年金が非課税とされているのには、社会政策上の理由があります。
障害年金は、病気で働けない人の生活の保障を目的に支給される「社会保障給付」という位置づけです。そのため、所得税法上で非課税と定められているのです。
これは、障害年金が、生活に必要不可欠なお金であることから、ここに税金をかけるのは不適切とされているからです。
非課税となる障害年金は、国民年金の障害基礎年金、厚生年金の障害厚生年金、さらにこれに付随する子の加算も含めてすべて非課税となります。
ただし、注意点もあります。障害年金を受給しながら自分の老齢年金を受け取る場合は、老齢年金に関しては課税対象になります。非課税となるのは障害年金の部分だけという点に注意が必要です。
遺族年金
遺族年金は、生計を共にしていた家族が亡くなったときに、残された配偶者や子どもなどに支給される年金です。
非課税の理由としては、遺族年金が残された家族の生活保障を目的にしているためです。そのため所得税法上で非課税とされており、受給額がいくらであっても一切課税されません。
非課税となる年金の種類は、国民年金の遺族基礎年金、厚生年金の遺族厚生年金などが非課税にあたります。
遺族年金は非課税ですが、死亡退職金や死亡保険金については、税金の取り扱いが異なるため注意しましょう。
課税される年金と非課税の年金がある
このように、年金には課税されるものとそうでないものがあります。年金という同じ名前でも、税金がかかるかどうかはその性質によって異なるのです。
原則として、生活保障を目的とした年金(障害年金・遺族年金) は 非課税となります、一方で、老後の生活資金を目的とした年金(老齢基礎年金・厚生年金など) に対しては、所得税が課税されます。
つまり、遺族年金と障害年金に関しては申告する必要もないということになります。
年金はすべての国民にとって関係がある社会制度ですので、この違いを理解しておくことはとても大切です。特に複数の年金を受給している場合や、その可能性がある場合は知っておいて損はありません。
まとめ
年金は雑所得として取り扱われるため課税対象ですが、障害年金と遺族年金については、非課税と法律で定められています。これは、老齢年金などの課税対象の年金とは明確に取り扱いが区別されており、生活保障を目的とする給付であるとして税金がかからないのです。
ただし、老齢年金であっても金額によっては公的年金等控除の範囲内ということで結果的に税金がかからないケースもあります。このあたりの仕組みをしっかり理解しておくことは、とても大切です。
年金を受け取ることになった場合は、支給される金額に気を取られてしまいますが、もらう年金が「課税か非課税か」を正しく理解しておきましょう。誤解や思い込みで申告漏れや過払いにつながるのを防ぐためにも、基本的な知識は必要です。


